あたし、脱ぎます!《完》



「今、
クーラーボックスを
持って来て、

そのまま入れちゃうわ」



理はコンビニから小走り出て行った。



朝のコンビニは
いつも静かで落ち着いている。


でも今日は理が一気に
雰囲気が変えてしまった。


あいつは
色んな意味で

ムードメーカーなのだ。



同じ店で
働くヒカルという
ホストと共に、

理は
クーラーボックスを
店内に持ち込み、

ドリンクを詰めて行く。


息が合っているのか、

物凄いスピードで
詰め込んで行く2人のホスト。



「えっと、
13250円になります」



「けっこう買ったな。
じゃ、これ」



理は
財布から15000円を取り出した。


久しぶりに見る
理の財布は

お気に入りのBEAMSから
ヴィトンに変わっていた。



「じゃ、
車の中で待っているから!!」



店内を出て行く
理と同時に、

アルバイトの塙さんが
裏から出てきた。



「あれ、
桐谷くんの友達?

やっぱりイケメンには
イケメンの友達がいるのね♪」と

鼻の下を伸ばした。


塙さんは
今年で48歳のオバサンで
韓流スターが好きらしい。

綺麗な男を見るのが
趣味だと話していた。



俺は
「いえ、そんな」と答え、

そのまま
バックヤードへ向かった。



裏口から出ると、

ジリジリと
肌を焼くような朝陽に
目を細めた。



……海かぁ。


海に行くのはいつ振りだろう。


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