あたし、脱ぎます!《完》


「誘ってくれてさんきゅうな。

萌香とは
全然、会えないから

萌香にとって俺が必要なのか
分からなくなっている。

それに
萌香が別の世界に
行ってしまうよう気がして……」



「淳平の気持ちは分かるけど、

萌香ちゃんは
何も変わっていないと思うんだ。

ただ、
夢中になれることを
見つけただけ。

淳平が
バスケを頑張るのと同じように」



「確かにそうだな。

萌香、グラビアアイドルに
なってから活き活きしている。

自分の意思で
続けて行きたいって言ったんだ」



「ただ…、
淳平は普通の大学生だ。

萌香ちゃんが
これからTVで
活躍するようになれば、

色んな人にも気付かれるようになる。

そんな時、
守ってやれるか……

それが一番大切だぞ」



……萌香を守る。



理の一言に、

弾けるものがあった。



俺は芸能界に何の知識もない。

本当に萌香を
守ってやることが出来るのだろうか?



涼しげな潮風が頬に当たり、

大きな波の音が耳に響く。



理の言葉に
答えることが出来ない俺は、

残っているビールを飲みほした。






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