あたし、脱ぎます!《完》
雑誌コーナーに
振りかえると、
ガラス越しに
先ほどの雑誌に
視線を落とす淳平くんがいた。
表紙には
森下くるみの満面の笑みと、
こぼれ落ちそうな胸が写っている。
淳平くんも
18歳の男の子。
エッチな雑誌を見るのは当たり前。
それに写っているのは、
ただのグラビアアイドルで、
小学生でも見るようなものだ。
だけど、
ちょっとだけ
嫉妬しちゃうのは何故?
同じ女だから?
でもあたしは
淳平くんのメアドをゲットしたのだ。
幸せだと思わなくちゃ!
傘を差し、
先ほど登録したばかりの
淳平くんの
電話番号とメアドを出してみる。
佳代に送るメールで
“淳平くん”という名詞は何度も打ったが、
こうやって
フルネームが
ケータイに入っていると、
何とも
言えない幸福感があった。
あたしは
ケータイを胸、家路を急いだ。