あたし、脱ぎます!《完》
第⑥章
有名人
山梨に戻る日曜日。
一ヵ月ほど住んだ
ウィーリ―マンションを
真鍋さんと
一緒に退室した。
「今度は
冬休みになるかな」と
真鍋さんが
ポツリと言った。
「あたし、
東京の高校に
転校したほうが良いですか?」
「いや、
お父さんと
約束しているから、
高校までは
山梨に居たほうが良いよ」
そう言ったが、
本音では
上京してほしいに違いない。
スケジュール調整で、
仕事を断るのは
勿体ない……と
嘆いていた。
また週末に
上京する日々が始める。
そう思うと
大変だけど、
あたしは山梨が好きだ。
早く高校の皆にも会いたい。
そして
今日は大事な人に
二週間ぶりに会える。
あたしは
真鍋さんの車で
代々木公園まで送ってもらい
「また来週、
お願いします」と
挨拶をして、
ドアを閉めた。
9月の風が頬に当たる。
ジメジメした
夏の風とは違って、
乾いた心地よい風。
待ち合わせ場所まで
歩いていると、
♪~♪~と
ケータイの着メロが流れた。