あたし、脱ぎます!《完》


そんなあたしたちの傍で

「あっ!?」という声が響いた。


あたしたちは
薄らと目を開けると、

首からカメラをぶら下げた男性が

こちらを見ていた。



ヨレヨレの長袖のポロシャツを
ジーンズの中へ入れ、

脂ぎった髪を

興奮ぎみに揺らしている。



「あ、あの…何ですか?」



淳平くんが
不機嫌そうに言った。



「ね?

キミ、モエモエだよね?

そうだよね?」



その男性は
あたしに向かって
迫るように質問した。



「違いますよ」と

ハッキリと言う
淳平くんだったが、

その男性は
あたしに向かってカメラを向けた。



一眼レフのカメラを覗き、

あたしと淳平くんを

カシャカシャとシャッターを切り出した。



「おい!! 

何やってるんだよ!!」



突然のことに

淳平くんは
大きな声を上げ、
立ち上がった。



すると
その男性は

「あぁ~」と
弱々しい声を出し、

逃げ腰で走り出した。



「ヤバいな……。

萌香、待ってて」



淳平くんはそう言うと、

その男性に追いかけた。







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