あたし、脱ぎます!《完》


「そんな萌香の
邪魔は出来ない。

スカウトの人にも言われただろう?

アイドルが恋人とデートしちゃマズイって。

それに今日みたいに

会っているところを
写真に撮られたら、

事務所の人にも
迷惑をかけちゃう……

だから、
俺と付き合うより、

今は芸能活動に
専念したほうが良いと思うんだ」



正論かもしれない。



アイドルに
恋人がいるなんて、

知られちゃいけないって、
分かっている。



これからどんな形で

仕事に取り組んで行くか
分からないけど、

今はグラビアアイドルを
続けて行きたい。

求められるから
やりがいがあるんだ。


あたしも
自分の表現の仕方が見えて来た。


だけど、


だけど……



淳平くんと離れるなんて出来ない。



「淳平くん……」



やっとの思いで出た言葉だった。


でも
何て答えて良いのか、

分からない。



沈黙が流れ、
何も聞こえなくなった。


耳が
全てを拒否しているようにも感じる。



ただ、
淳平くんの言葉が

耳に響いてしまった。





「……別れよう」







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