あたし、脱ぎます!《完》
第⑦章
親友の恋路
『DVDの発売イベントは
10月16日です。
宜しくお願いします。』
授業中、
事務所から届いたメールを
机の下で確認する。
あたしは
『分かりました』と
端的なメールを返信した。
二学期から
窓際の席になったあたしは、
グランドを走る一年生を眺めた。
風を切るように、
短距離走を走る
女子の“ある”一点を見つめる。
……あたしみたいになっている人はいない。
あたしは
胸が大きいことを
ずっとコンプレックスにして来た。
だけど、
今は胸が大きいこと武器に
グラビアアイドルをやっている。
コンプレックスを個性に変え、
“あたし”という
存在価値が生まれた。
そんなあたしがせっかく掴んだ
存在価値を
手放そうか……
悩んでいた。
グラビアアイドルを辞めようかと…。
二年の契約は
終了していないが、
続ける意志が消えかかっている。
事務所の人も、
応援してくれる人も
裏切ることになる。
でも、
普通に恋が出来ないなら、
ただの女の子に
戻りたいと思った。
普通に恋したり、
普通にデートしたり、
普通に学校通ったり。
普通に遊びたい。
だけど、
胸が大きいだけの子に
戻るのは怖い……
そんな気持ちもあった。