あたし、脱ぎます!《完》
「は、はじめまして。
萌香さんに会えて……
嬉しいっす」
声が
どことなく震えている小柳くんは
握手を求めてきた。
「どうも。
佳代から小柳くんのことは聞いたよ」と
握手をする。
友達に
好きな相手を紹介されて、
握手を求められるなんて…
何だか、変な感じ。
あたしたちは
早速、近くのカラオケボックスに入り、
ドリンクを注文した。
小柳くんは
何だか緊張しているのか、
さっきから背筋を伸ばし、
拳を膝の上に乗せている。
「ちょっと
親に電話してくるから、
先に曲入れていてね」
佳代は、
あたしと小柳くんの前にリモコンを置くと、
ケータイを持ちながら部屋を出て行った。
……凄く気まずい。
「ね?小柳くん?曲入れなよ」
沈黙にならないように、
声をかける。
「…あ、はい」と
あたしをチラッと見ると、
またすぐに視線を外す小柳くんは
リモコンを持ち、
タッチパネルを操作して行く。
「……あ、あのぉ」
曲を選んでいると、
小柳くんが話しかけてきた。