あたし、脱ぎます!《完》



一時間が経った頃、
佳代がトイレで部屋を出て行った。


あたしの歌う曲が
流れ始めるが、


マイクを持たずに
「小柳くん?」と声をかけた。



ドリンクを飲んでいる
小柳くんは「はい」と

こちらに目を向けた。



「小柳くんって
佳代のこと好きなんでしょ?」



「え?!
何ですか?!いきなり」と

目を大きく見開いた。



「隠さないで良いよ。

見てたら分かるから。

佳代も
小柳くんのこと気になっているの。

だから告白したら、
付き合えると思うんだ」



「え、そうなんですか?
でも僕……」と

弱気な小柳くんに、



「大丈夫。
佳代も恋に奥手だけど、
ホントに良い子なの。

だから2人を応援したいんだ」



「はぁ……」



そんなやり取りをしていると、
佳代が部屋に戻ってきた。


ちょうど
曲の間奏だったあたしは、

何事もなかったように
マイクを握った。


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