あたし、脱ぎます!《完》
未来への迷い
イベントが
行われる一週間前、
いつものように
東京に向かう電車の中で、
あたしは
流れる山梨の街を眺めていた。
……今日、言えるだろうか。
溜め息をつき、
グラビアアイドルを辞めたいと
伝えるタイミングを考えていた。
続けて行く
パワーも無くなり、
カメラの前で
心から笑えなくなっている
あたしは、
グラビアアイドル失格だ。
もう普通の女の子に戻ることしか
頭になかった。
電車が走り出して、
10分ほど経ったとき
「おい?」と
あたしを
呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると、
横に雄介が立っていた。
「雄介!!」
「萌香?
自由席に行って
一緒に座らないか?」
「……え?
何でここにいるの?」
「後から話すから、行こうぜ」
「うん。良いけど……。
ちょっと待って」と、
あたしは
荷物を持ち、席を立った。