あたし、脱ぎます!《完》
「……あのね。
あたし、
……もうグラビアアイドルは辞めるの」
一瞬にして
真顔になる雄介から
視線を逸らす。
「はぁ?
何で?
……まさか、
桐谷先輩のことか?」
淳平くんと別れたことが
キッカケだけど、
淳平くんのせいにしたくない……。
「ううん。
普通の女の子に戻りたいの。
東京に行くのが嫌になったの」
「なんだよ、それ?
お前のやる気って
そんなもんだったの?」
眉間にシワを寄る
雄介に黙ってしまう。
雄介は
「はぁ…」息を漏らすと、
「桐谷先輩のことなんだろう?」と
再度、訊き直した。
「……淳平くんと別れたことがキッカケだけど、
本当にそれだけじゃない」
「まだ始まったばかりだろう?
萌香みたいに売れたくても、
人気の出ない奴は
たくさんいるんだ。
お前は
自分の置かれている状況を考えろ」
雄介は
残っていたコーヒーを飲み干した。
……自分の置かれている状況。