あたし、脱ぎます!《完》



あたしだって
たくさん考えた。


事務所の人、

学校の友達、

近所の人、

お父さん、お母さん、お婆ちゃん……


みんな応援して、
あたしに協力してくれる。


でも……、

あたしは
このまま続ける自信も
やる気も無くなってしまった。


すぐに
辞めることが出来なくても、

高3になる前には
終わりにしたい。


そして
普通の女の子に戻って、

淳平くんに
会いに行くんだ。




新宿駅で、
雄介が「じゃ」と、

あたしに背を向けた。


せっかく
となりに座ったのに、

沈黙が続き、
重たい空気が流れていた。



あたしは
いつも通り真鍋さんの
車の乗り込み、

スタジオに向かう。


車内では
ラジオが流れ、

悩みを抱えている
女子高生の投稿ハガキが読まれていた。



『好きな人は
学校でも一番のイケメンと
言われている彼です。

あたしは
自分に自信がないため、
声をかけることも出来ません。

無理なのは
分かっていますが、
仲良くなりたいです』



DJのお姉さんは
読み上げた後、

「うううん……」と

唸るような声を出した。


去年までは
あたしも同じ状況だったから

照らし合わせて考えてみる。


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