あたし、脱ぎます!《完》



DJのお姉さんが

「片思いって辛いよね」と
言った後、

経験談を
交えながら話し出した。



『私も高校時代
同じクラスに好きな男の子がいたの。

でもその頃、

私は
この声が嫌いで
いつも“アニメ声”って

バカにされていたの』



お姉さんは
確かに耳に残る
個性的な声をしている。

でも
聴いていると、
穏やかな気分にもなる。



『でも文化祭が
一ヵ月に迫った頃、

実行委員をやっていた彼が
私に校内放送のアナウンスをやってほしいって
頼んできたの。

私は
この声が嫌いだったら、
すぐに断ったんだけど、

彼は
“その声だから
皆の印象の残るんだ”って

言ってくれたの』



真鍋さんも
ラジオに集中しているのか、

あたしに話しかけて来ない。



『誰にでも
長所に繋がるものは
持っていると思うの。

自分が
短所だと思っていたことが、
他人からしたら、

長所だったりもするの。

自信を
無くすよりも、

自分の長所を見つけて、
それを自信に繋げてみたら?

そしたら
自信持って
声をかけてみることが出来ると思うの』



お姉さんの
声に被さるように

音楽が流れ始めた。

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