あたし、脱ぎます!《完》


いつも通り撮影は終わり、

次の日も
取材や撮影も順調に進んで行った。


夕方になる頃、

一通のメールが届いた。



『今日の夜、会えるか?』



絵文字もない
簡単なメールは雄介からだった。


昨日の
オーディションが
終わった後、

帰ったんじゃなかったのと思いながら、


『20時以降なら大丈夫だよ』と

返信した。


仕事が
終わった後、

真鍋さんに事情を話し、

恵比寿駅の前で
下ろしてもらうと、

南口の前で、

東京に慣れず、
どことなく緊張した顔の雄介を発見した。


あたしが駆け寄ると、

雄介は
知り合いに会った安心感からか、

ホッとした笑みを浮かべた。



「遅くなっちゃってごめんね。

昨日、
帰ったんじゃなかったの?」



「それが
色々あって。

とりあえず
飯でも食おうぜ」



雄介は
お腹を押さえて、
空腹をアピールする。


あたしたちは
駅ビルにある洋食店に入った。



「どれにしようかなー」



子供ように
メニュー表を眺め、

ハンバーグを注文する雄介に対し、

あたしはドリアを注文した。

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