あたし、脱ぎます!《完》



それから
15分が経った頃、

真鍋さんから
電話がかかってきた。



「その彼には
申し訳ないけど、

お金を出すのは危険だな。

大きな
オーディション会場で
スカウトして、

お金を要求する
詐欺事務所があるんだ。

あとは
放ったらかしにして、

結局“才能がない”と言って

終わりにするらしいんだ」



真鍋さんの
話を聞きながら、

雄介に視線を向ける。



心配そうに見る雄介も
あたしの表情から、

あまり
良い答えではないと察し、

深く息をついた。


そして
「やっぱりな……」と

声にならない言葉を吐き、
椅子にもたれた。



真鍋さんには
お礼を伝え、

この後、
真っ直ぐホテルに
帰ることを伝え、

電話を切った。



「俺、
騙されるところだったな」と

寂しく笑う雄介。



その顔が
痛々しくて、

見ているのは辛い。

< 343 / 383 >

この作品をシェア

pagetop