あたし、脱ぎます!《完》
握手会は
終盤に差し掛かった頃、
「萌香ちゃん♪」と
聞き覚えのある声がした。
「え?」
「よ!!来ちゃった♪」
「何で??」
あたしの前に
口角を上げて
「えへへ」と
笑っているのは、
理くんだった。
「萌香ちゃんのDVDを買いに来たんだよ。な?」
理くんは
横に並ぶ人に向き返る。
あたしも
理くんに続いて、
次の人に視線を向けた。
「……えっ」
声が漏れ、
全身が硬直した。
息をするのも
忘れてしまうほどの衝撃だった。
「今日は
淳平に誘われて一緒に来たんだよ。
そうだよな?」
理くんの声に
「あぁ」と、
ぶっきらぼうに返事するのは、
まさしく淳平くんだった。