あたし、脱ぎます!《完》



握手会は
終盤に差し掛かった頃、

「萌香ちゃん♪」と

聞き覚えのある声がした。



「え?」



「よ!!来ちゃった♪」



「何で??」



あたしの前に
口角を上げて

「えへへ」と
笑っているのは、

理くんだった。



「萌香ちゃんのDVDを買いに来たんだよ。な?」



理くんは
横に並ぶ人に向き返る。


あたしも
理くんに続いて、

次の人に視線を向けた。



「……えっ」



声が漏れ、
全身が硬直した。


息をするのも
忘れてしまうほどの衝撃だった。



「今日は
淳平に誘われて一緒に来たんだよ。

そうだよな?」



理くんの声に
「あぁ」と、

ぶっきらぼうに返事するのは、

まさしく淳平くんだった。

< 357 / 383 >

この作品をシェア

pagetop