あたし、脱ぎます!《完》
「萌香ちゃんは
君と別れてから、
元気がないんだ。
仕事にも身が入らない。
以前のような
輝きを失っている。
これ以上、
仕事を続けるのは無理かもしれない……
もう駄目かもしれない……」
真鍋さんの言葉に
俺は責任を感じた。
邪魔にならないために
別れたはずが、
萌香は
完全にやる気を無くしていたのだ。
「真鍋さん?
萌香のために、
俺が出来ることってあるんでしょうか?」
そう尋ねた俺に、
真鍋さんはある提案をしたのだ。
「今度、
萌香ちゃんのDVDの発売イベントを観においで。
その時に
萌香ちゃんが芸能活動をして行く上で、
君が必要か、
そうじゃないか……
判断してみると良い」
この提案に
すぐ頷くことが出来なかった。
イベントに行ったから、
特別なことがあるとは思えなかったからだ。
それに
萌香に会うのも気まずいし、
萌香のファンを見て、
嫉妬する
自分も嫌だった。
でも
熱心に誘う真鍋さんから
「気付けることがあるはず」と
言われたのだ。
俺が
その気付ける
「何か」を見つけたかった。