あたし、脱ぎます!《完》
俺たちは
用意された椅子に座り、
ステージに登場する
萌香を待った。
理は
入口付近でもらった
他のアイドルが行うイベントのフライヤーを見ながら、
「すげぇエロ」
「この子、マジ可愛い」と
一人で盛り上がり、妙に馴染んでいた。
俺は
受付で購入したDVD
『永井萌香
first fantasy』を眺めた。
パッケージの写真は
水着姿の萌香が
大きな胸の谷間を作り、
満面の笑顔を浮かべている。
童顔に大きな胸。
このアンバランスさが
男心を擽(くすぐ)る人気の秘訣なのだろう。
何となく
その気持ちが理解できる。
でも萌香は萌香。
俺は萌香のすべてが好きなのだ。
ステージ上に
司会者が登場すると、
大きな拍手が会場を包んだ。
軽快なトークで
イベントを進行する司会者は、
萌香の登場まで
ファンを盛り上げて行く。
「では、登場してもらいましょう!!」
司会者の
掛け声と共に、
身を乗り出す自分がいた。
「こんにちは!!」
あ!萌香だ!!
白のワンピースを着た萌香が
ステージに飛び出した。
そして
会場を見回しながら、
来ているファンに
手を振っている。
俺は気付かるのが
何となく恥ずかしくて、
肩をすくめた。
「萌香ちゃん!!」と、
大声で叫ぶ理。
お前は高校時代
いつも見ていただろうが!!
盛り上がっている会場で、
俺は一歩引いた目線で
周りを見回した。