あたし、脱ぎます!《完》



背を向けて
歩いて行く理くんの姿は、

どこから見ても
ホストにしか見えない。


それが
彼の選んだ道で、

自分が
輝いて行ける道なんだろう。



あたしは
カプチーノのカップを持ち、

淳平くんに目を向けた。



口数少ない淳平くん。


今日はどうして来てくれたんだろう?


「淳平くん?

今日はどうして来てくれたの?」



淳平くんは
「あぁ」と答えた後、

買ったばかりのDVDを
カバンから取り出した。


大きな胸が
強調された写真が
パッケージに使用されている。


元彼の淳平くんに
どう映っているのだろう。



「俺、
萌香の邪魔にならないために
関係を終わらせたんだ。

でも
俺と別れたことで、

萌香が
グラビアアイドルを辞めようとしていると聞いて……。

心配になったんだ。」



「え?誰から聞いたの?」



「真鍋さんから連絡が来たんだ。

そして、
今日のイベントに来たら、

俺が
萌香にとって必要かどうか……

分かるって言われたんだ。

そして
気付けることがあるって」



「そうだったんだ……。

どうりで
“淳平くんが来てたね”なんて言っていたんだ」



あたしの知らないところで
淳平くんに連絡をして、

あたしのことを相談していたのだ。


タレントの
プライベートも管理するのが
マネージャーの役目なのは分かる。

だけど
ちょっと複雑だけど、

淳平くんに会えたのは
真鍋さんのお陰だから、

結果的に感謝しなくちゃ。

< 373 / 383 >

この作品をシェア

pagetop