あたし、脱ぎます!《完》
「ごめん。
もうみんなにあげちゃったよ。
奪い取る子もいたからね」
頭を掻きながら、
「参ったよ」と言う淳平くんに、
理くんも
「女って怖いな」と
頷くように答えた。
「淳平?
何か記念になるものをあげろよ。
ほら、
そのバッシューとか」
「え?
こんなんで良いの?
新しいのを
買おうと思っていたから、
別に良いけど」
そう言って、
淳平くんは「いる?」と
バッシューを差し出した。
淳平くんが
高校時代打ち込んでいたバスケ。
そんな青春を共にした
バスケットシューズをあたしにくれるの?
……ホントに良いの??
顔を上げ、
淳平くんに顔を向ける。
「……良いんですか?」
あたしの
枯れた小さな声に、
「こんなのでごめんね」と
申し訳なさそうに言う淳平くん。
そして
あたしの手に
淳平くんの愛用していたバスケットシューズが乗った。