あたし、脱ぎます!《完》
選ばれた人
「次は
甲府、甲府に停まります」
電車のアナウンスを聞こえ、
「へ?」と
薄っすらと目を開けた。
……あ、
ああああああ!!
寝ちゃった!!
あたしたちは
疲れきっていたのか、
気がつくと
二人して寝てしまっていたのだ。
急いで体を起こし、
買い物袋を
枕代わりにしている佳代を揺すった。
「佳代!!
起きて!!
甲府だって!!」
「え?
豆腐は
今、食べない……」
完全に夢の中にいる佳代。
「ほら!!!」
佳代の腕を引っ張り、
体を起こすと
ようやく状況が読めたようだ。
「あ、あ…!!
ひゃばい!!おりなくちゃ~」
あたしたちは
急いで荷物をまとめ、
ちょうど到着した電車から
ホームに下りた。
ギリギリセーフ。
良かった……と、
深呼吸をすると、
東京とは違う空気があった。
あたしは
こっちの空気のほうが好き。