あたし、脱ぎます!《完》
「ちょっと!
何で、
あたしが芸能人に
なる話になっているの!?」
パチン!と
音を立て、
箸を置いた。
のんき夫婦は
鳩が豆鉄砲でも食らったような顔で、
「ならないの?」と答える。
「ならないよ!!
芸能界なんて興味ないし。
あたしに
芝居や歌が出来ると思う?
無理じゃん!!
人前に出るのだって、
苦手なんだよ!!」
つい大声を出してしまい、
驚いたお婆ちゃんが
リビングにやってきた。
「何だね?騒々しい。
萌香もずいぶん、遅かったね」
「あ、お婆ちゃん、ごめんね。
お父さんとお母さんが
変なこと言うから」
「何があったの??」
のんき夫婦は
肩を小さくして、
どう説明しようか
モジモジと顔を見合せた。
呆れたあたしは
お婆ちゃんに
スカウトされた話から、
お父さんとお母さんの言動を
細かく説明した。
お婆ちゃんは
「うん、うん」と
首を縦に振りながら
話を聞き、
最後まで聞いてくれた後、
意外な答えが返ってきた。