あたし、脱ぎます!《完》
「興味がないなら、
やらないほうが良い。
でも
芸能界の仕事は
誰にでも出来る仕事じゃないから、
よく考えなさい。
最初から
“出来ない”と
決めつけるのは、
わしは好きじゃない」
そう言い残したお婆ちゃんは
腰を上げ、
自分の部屋に戻って行った。
シーンとする
リビングで
親子三人が顔を見合す。
……確かにそうだ。
あたしは
いつも最初から出来ないって、
決めつけるところがある。
勉強だって、
スポーツだって、
無理だと決めつけて
やらないことばかり。
恋だって、
無理だと決めつけて、
告白も出来なかった。
こんな自分からも
卒業したかったんじゃないの?
本当は
もっと自信を持って
行動出来る自分に
なりたいんじゃないの?
……でも
……自信持てることって
……何だろう?
また無理だって、
恋と一緒に辞めちゃうの……?
「萌香、
さっきはごめんなさい。
あなたの意思に任せるわ」
「そうだな。
詳しく話を聞いてから
決めたほうが良いからな」
両親の声に、
あたしは
「うん……」と小さく頷いた。
これから
あたしが変わって行く
……キッカケの一日だった。