フィルムの中の桜と私
夢の価値
数ヶ月が過ぎた。美由はこの街から少し離れた中心部で調理学校に行くことを決めた。早紀は卒業したら、決めていた看護士の夢をやめ、彼とアパートを借りて同棲するらしい。夢より愛、それが最近の早紀の口癖になった。
季節は冬だった。道路には落ち葉の絨毯が広がり、冷たい木枯らしが体を芯から冷やす。残りの学校生活も数えられるくらいになった。
帰り道、美由はいつもの下り坂を歩いていた。あの時と同じ、自転車はもう寿命なのかパンクしていた。 不意に後ろから声をかけられる。
「美由…」
振り返ると制服で自転車に乗った俊也がいた。
「俊也」
「久しぶりだな、最近オレを避けてなかった?」
「別に?」
美由はいきなりの俊也との会話に、驚き、喜び、悲しみが入り混じって複雑な感情になった。
「少し話しよっか。そこで…」
あの時と同じ公園、ベンチ。 ただ違うのは寒さと腰を下ろす二人の距離があの時より少しだけ離れたことだった。
季節は冬だった。道路には落ち葉の絨毯が広がり、冷たい木枯らしが体を芯から冷やす。残りの学校生活も数えられるくらいになった。
帰り道、美由はいつもの下り坂を歩いていた。あの時と同じ、自転車はもう寿命なのかパンクしていた。 不意に後ろから声をかけられる。
「美由…」
振り返ると制服で自転車に乗った俊也がいた。
「俊也」
「久しぶりだな、最近オレを避けてなかった?」
「別に?」
美由はいきなりの俊也との会話に、驚き、喜び、悲しみが入り混じって複雑な感情になった。
「少し話しよっか。そこで…」
あの時と同じ公園、ベンチ。 ただ違うのは寒さと腰を下ろす二人の距離があの時より少しだけ離れたことだった。