フィルムの中の桜と私
美由は歩き出した足を止め、ゆっくり振り返る。呼び止められることに驚きはなかった。むしろ期待していた…かもしれない。
「美由、オレもお前から調理士になるって聞いたとき、オレもなんか励まされた。オレもあの時お前から話聞かなかったら親の反対に負けてたかもしれない。」
そこで言葉をきると、あの時と同じ、青空を見上げて続けた。
「オレもやっぱ美由が好きだ。昔から。でも今の俺じゃお前を幸せになんてできない。お前を悲しませちゃうだけだ。だからオレ、ちゃんと夢を叶えて、写真家になって、そしたらちゃんと俺からお前に告白する。待っててくれなくていい。でも俺はお前に告白するから。約束だ」
そう言ってた俊也は泣きそうな顔を無理矢理笑顔にしてぐちゃぐちゃな顔になる。バカだな、ホントに俊也って…。
「私待ってるよ。絶対待ってる。私の生まれて初めてのプロポーズの返事、ずーっと待ってる」
俊也は小さく頷くと、カバンからカメラを出した。
「こんな時まで持ってたの?」
「ああ。今日はお前のために持ってきたんだ」
そういうと、俊也はカメラを撫でる。
「前に言っただろ?人の楽しみを作れるような写真を撮りたいって。今日は俺の楽しみを作りたいんだ。ほら、美由。桜の木の下に立って」
「え?私を撮るの?」
「ああ、お前とこの桜の木を撮って持ち歩けたら俺、この先何があっても大丈夫な気がする。お前はどんな風になったのかなぁ…、とか将来この娘の横にいるのは俺なのかなぁ…とかな」
「ハハハ… バカみたい。はい、この辺でいい?」
「俺がまたここに帰ってきたら真っ先にこの桜の木の下に来るからな。お前もここに来いよ。会うたびに写真を一枚増やしていこうな」
2人共泣きながら、でも心は笑顔だった。 俊也が人物を初めて撮る瞬間。そこには私が映っている。
俊也は構えると、シャッターをきる。 桜の木もシャッターに合わせて風に揺れていた葉を止めた。
「美由、オレもお前から調理士になるって聞いたとき、オレもなんか励まされた。オレもあの時お前から話聞かなかったら親の反対に負けてたかもしれない。」
そこで言葉をきると、あの時と同じ、青空を見上げて続けた。
「オレもやっぱ美由が好きだ。昔から。でも今の俺じゃお前を幸せになんてできない。お前を悲しませちゃうだけだ。だからオレ、ちゃんと夢を叶えて、写真家になって、そしたらちゃんと俺からお前に告白する。待っててくれなくていい。でも俺はお前に告白するから。約束だ」
そう言ってた俊也は泣きそうな顔を無理矢理笑顔にしてぐちゃぐちゃな顔になる。バカだな、ホントに俊也って…。
「私待ってるよ。絶対待ってる。私の生まれて初めてのプロポーズの返事、ずーっと待ってる」
俊也は小さく頷くと、カバンからカメラを出した。
「こんな時まで持ってたの?」
「ああ。今日はお前のために持ってきたんだ」
そういうと、俊也はカメラを撫でる。
「前に言っただろ?人の楽しみを作れるような写真を撮りたいって。今日は俺の楽しみを作りたいんだ。ほら、美由。桜の木の下に立って」
「え?私を撮るの?」
「ああ、お前とこの桜の木を撮って持ち歩けたら俺、この先何があっても大丈夫な気がする。お前はどんな風になったのかなぁ…、とか将来この娘の横にいるのは俺なのかなぁ…とかな」
「ハハハ… バカみたい。はい、この辺でいい?」
「俺がまたここに帰ってきたら真っ先にこの桜の木の下に来るからな。お前もここに来いよ。会うたびに写真を一枚増やしていこうな」
2人共泣きながら、でも心は笑顔だった。 俊也が人物を初めて撮る瞬間。そこには私が映っている。
俊也は構えると、シャッターをきる。 桜の木もシャッターに合わせて風に揺れていた葉を止めた。