あいうえおホラー
女
あ・足音が聞こえる
い・いつもの足音だ
う・後ろからコツ…コツ…と
え・駅を出てからずっと私を
お・追いかけてくる『何か』
か・肩で息をしながら
き・今日も逃げるように走って
く・狂いそうになる感情を抑えつつ
け・警察のいる
こ・交番へと駆け込んだ
さ・30分程様子を見た私は
し・静まり返った夜道を再び歩き出す
す・数分後…
せ・背中に何かが触れた
そ・それと同時に背筋が凍るような声が…
た・たまらず振り返った私は愕然とした
ち・血まみれの女が立っていたからだ
つ・突き刺すような視線を私に向けながら
て・手をスゥ…と伸ばしてきた女
と・時が止まったように私の体は動かない
な・何がなんだか訳も分からず
に・逃げ出す事すら不可能な状況の中
ぬ・ヌメッ…とした女の手が顔に触れた
ね・熱を持たない鉄のように冷たい手
の・脳が逃げろと全力で叫んでいる
は・計り知れない恐怖に怯える中
ひ・人とは思えない女の顔を見てしまった
ふ・不自然なぐらい白い顔
へ・蛇のようにギョロッとした眼
ほ・頬にいたっては骨が見えていた
ま・魔物のような女は
み・身動きが取れない私に向かって
む・無言のまま刃物を突き立てた
め・目の前が一気に暗くなる
も・もう終わりだと思った
や・やがて私は目が覚めた
ゆ・夢、そう夢だったのだ
よ・良かった、夢で本当に良かった
ら・ラジオから流れる音楽が
り・理性を取り戻させた、その時…
る・留守電がいきなり鳴った
れ・冷静になった心臓が一気に跳ね上がる
ろ・……録音された『声』が部屋に響いた
わ・『…ワタシ…ココニ…イルカラ…』
を・女の声と同時に刃物が突き刺さった
ん・「んぐっ……」