【ホラコン】招かれざる同乗者
「夢でも見たんじゃないんですか?」
おおよそ信じ難いKさんの話を聞いて、僕達は率直にそんな感想を漏らしました。
「夢だと思うか?」
そう真面目な表情で聞き返すKさんに、僕達は当然でしょうとばかりに頷きます。
ところが……
その後にKさんが語った言葉に、僕達の背筋は凍りついたのです。
「車のメーターがな……
その日の朝、ガソリン入れた時に“0”に戻した筈なのに、次の日の朝見たら300キロ走った事になってたんだよ……ガソリンも、残り1目盛りしか残ってなかった!」
「!!!!!!」
……つまり、Kさんの黒いワゴンは会社から熱海へ行って家へと帰る間に、確かに300キロ近い距離を走行したという事です……
「うわあぁぁぁ~~っ!オバケだあぁぁぁ~っ!」
新車センターの工場中に、僕達のけたたましい叫び声が響き渡っていました。
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