【ホラコン】招かれざる同乗者
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季節は冬、そして時刻は夜の9時頃だったといいます。
Kさんは、熱海店の依頼で新車の架装を終え自宅へ帰る為にその熱函道路を車で走っていたのでした。
峠道である熱函道路の周りには、民家は殆ど無くただ起伏の激しい舗装された道路が繋がっているだけです。
対向車はおよそ三十秒に一台通り過ぎる程度。花火大会でも無ければ、平日の夜の熱函道路はこんなものです。
Kさんがその時運転していたのは、黒のワゴン車。
特に問題なくもうすぐ無人の料金所を過ぎて、あと四十分もすれば家まで辿り着くであろうというそんな時でした。
「なんだ、うるせえな……さっきから!」
先程から、Kさんの車のすぐ後ろをピッタリと付けてくる一台の車がいました。
車内に聞こえてくるマフラーの音から想像するに、後ろの車はスポーツカー。まるで、もっと速く走れと言わんばかりに、Kさんの車の後ろにピッタリとくっついています。
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