【ホラコン】招かれざる同乗者



特にKさんがゆっくり走っていた訳ではありません。


もともと飛ばし屋であるKさんですから、空いている熱函道路で八十キロ位の巡航速度で走っていたらしいのです。


そのKさんを煽ってくる位ですから、相手はきっと限界走行で峠道を走る事を楽しみとしている地元のいわゆる『走り屋』と呼ばれている輩なのだろうとKさんは思っていました。



しかし、もうすぐ料金所に差し掛かります。その先には少し広くなっている道路があるので、そこで抜かさせれば良いだろうと思ってKさんはそれ程気に留めずにそのまま運転を続けていました。



そして料金所を通り過ぎたのですが、その時Kさんは不思議な事に気付いたのです……





「あれ……?
さっきのアイツ、どこ行っちまったんだ……?」


先程までうるさい程に聞こえていた後ろの爆音が、いつの間にか消えていたのです。


この辺りは一本道で、他の方向へと分岐する道はありません……


あれほど執拗に後についてきていたあの車は、一体どこへ行ってしまったのでしょう。



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