【ホラコン】招かれざる同乗者
(で…出たーーー!!)
深く被った帽子のせいで顔の表情は見えません。
しかし、着ている服の感じからは二十代位の若い男……あのスポーツカーに乗っていたらぴったりという風貌でした。
言葉は発せず、ただ黙ったままで俯いています。だからと言って、こちらから話し掛ける気には到底なりません。
そして、不思議な事にあの料金所を通り過ぎてから、対向車が全く来ないのです。
目の前には、ただ暗闇に道があるだけ……この辺りには道路を照らす為のいくつかの電灯があった筈なのに、その電灯の姿も見えません。
(ウソだろ……)
もう、Kさんには後ろを確認する勇気も起きません。今思うのは、ただ早く家に着け……そう願うばかりです。
自然とアクセルを踏む足先に力が入ります。
車のスピードメーターの針はいつの間にか百キロを超えていました。
このスピードで走れば、もうあと数分後にはぼちぼちと民家の灯りが見え始めてもおかしくありません。
それなのに……
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