1コ下のキミ


「親とか、友達とか、学校の遠足みたいなんかで行かなかったのか?」

「……一緒に回る子、いなかったから」

「……あ……」


『避けられてる』

そういや洸稀が言ってた。

木岐さんの妹っつー理由で、距離を置かれてること。


「家族は……みんな仕事で忙しくてね、あ、それでお兄ちゃんグレちゃったんだけど。二人だけじゃどこにも行けないし、連れてってくれる人もいなかったから」


そういや、家でかかったもんな。

そういう家ほど忙しいのかもしれない……。


「でもね、暁くんとか、蓮くん、蘭くんもいたし、遊ぶのはすごく楽しかったの。それで満足してたから。だから……」


郁未は、ジッと俺の顔を見て呟いた。


「だから、そんな悲しい顔しないで……」


言われて初めて、眉間に皺が寄っていたことに気付いた。


「過去なんてどうでもいいんだよ。今は龍河くんがいるんだもん」
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