1コ下のキミ


過去っつーのは、この先ずっと背負っていかなきゃいけないものだ。

楽しい事でも、苦しい事でも、その記憶がなくなった時さえ、それ自体が過去なんだ。

記憶……どころか、半年も眠ってた俺は、それだけでもう普通の人生とはおさらばしてる。

自分が同い年より劣ってるように感じて、悔しくて、グレた。


過去があるから今がある。

今があるから未来がある。


だから未来の為に、思い出に残る過去を、今作ればいいんじゃないか?


「郁未」

「なに?」

「……はぁ、俺って実はお人好しなのかもしれねぇ」

「何自分で言っちゃってるの」


いや、違う。

お人好しとかじゃないな。


コイツの事を知る度に、コイツへの好意が増えてる。


つまり未来、俺は郁未を好きになる日が来るのかもしれない。

そう、思ったから。


「お前の未来、俺に預ける気、あるか?」
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