1コ下のキミ
授業。
授業をするには、教室に入らなければならない。
教室に入るってことは、俺の死亡フラグが立つということだ。
ついさっきまではその気で来ていたけど、廊下で郁未に会ったせいか、そんな決意は崩れ落ちた。
最悪な結果だと思う。
しかもここじゃ中途半端に違うクラスの奴にも目について、むしろ教室入るよりも最悪な状況なんじゃないかと、今気がついた。
大変だ、今すぐ逃げ出したい。
と、思ったと同時に、ガシッと掴まれる腕。
その先にいる――
「逃がさない」
――ニヤリと嫌な笑みで俺を見てくる彼女。
……あぁ、洸稀。
俺、授業中に来るべきだったのかもしれねぇ……。
イメージトレーニングというものは、役には立たないらしい。
仕方なく郁未に引きずられながらも教室に入ると、教室の空気が一瞬で変わった。
というより、全員ピシリと固まったような感じだ。