1コ下のキミ


「関わりもしない癖に、何におびえてるわけ?確かに木岐さん怖ェーけど、普段いねーだろ。何かしたらコイツがチクるとか思ってるわけ?お前ら、そんなチクられるようなことしないだろ?喧嘩くれーじゃチクらねーよ。そこまでコイツは腐ってねーよ」


腐ってねんだよ。

あんなに避けられてるくせに、道踏み外さないなんて、精神が強い証拠だ。

俺と違って……俺よりも。


「こいつは、俺の何倍も強い。心が強いし、広い。俺に関わってる暇があるならコイツに関われ。その方が何倍も相手してくれるだろうよ、なぁ、郁――」


そう言いながら郁未を見ると……俯いて、手で顔をこすっていた。

……まさか。


「……おい、郁未?」

「……」


な、泣いてる……!?

え、ちょ、おま、そんなキャラじゃねーだろ!?

泣いた奴の対処法なんて知らねーよ!


……つーか、ヤバい、これはヤバい。

前に郁未が泣いて木岐さんが来たことが――って今日どっちみち来るんだった!!
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