1コ下のキミ


ヤバい、これを奴らに見られたら俺終わる!

病院送りにされる!!


「郁未、ちょ、な、あーもー泣きやめよ、俺どうにも出来ねんだけど――」


その時、横からスッと郁未の目の前に誰かが腕を出してきた。

その手に握られている、ハンカチ。


「使って」


郁未が少し顔を上げて、彼女を見る。


「……え、あの、でも」

「気にしないで、使っていいよ」

「……あ、ありがとう……」


――何が起きた?

郁未が、クラスの奴と、会話した……?


「龍くん」


女は振り返って俺を見る。


「みんな、本当はどう接していいのか、わからなかったの。木岐さんが……妹の方ね。木岐さんて、お兄さんの情報しかなくてね、木岐さん自身の情報がなかったの」

「……あぁ」
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