1コ下のキミ
屋上は風が吹いている。
強くもなく、弱くもなく。
心地いい風が、俺たちの間を通りぬける。
「あたしね、すごく嬉しいの」
「それ、展望台でも聞いた。それとも、告白がってこと?」
「違うってば。友達増えてること」
「この勢いじゃ、全校と友達になりそうだな」
「さすがにそれはないけどさ」
郁未の顔が、すごく満足している。
「嬉しすぎて、ずっと笑いっぱなしで、ちょっと顔が疲れちゃった」
「そんなに嬉しいか」
「うん、嬉しい」
――俺も、そんなお前が見れて嬉しい。
……なんて思いはしたけど、口に出す事はしなかった。
出すかよ、こんな恥ずかしいセリフ。
「あ、HR始まっちゃう時間。戻ろ!」
「あぁ」
周りを取り巻く環境が変わっても、郁未は変らない。
さすが、木岐さんの妹なんだろうな。