1コ下のキミ
わかりやすくピクッと反応した。
相当緊張してきたみたいだ。
「今、どんな気分?」
「……知らない」
「ふーん」
気に入らない答えが返ってきたから、ちょっとイジめてやろう。
肩に回していた手を首までなぞり、頬に当てる。
「な、な、な……」
頬に当てている手に力を入れて、クイッと郁未の顔を俺に向ける。
ニヤリ、俺は笑ってゆっくりと郁未に顔を近付ける。
どうにも出来ない郁未は、顔を真っ赤にして強く目をつむった。
コツン。
俺は額を郁未の額に当てた。
ゆっくりと、郁未が目を開く。
あたり前だが、目の前には接近した俺の顔が映る。
「いくみ」
「……なに」
「惚れた」
俺はそう言って、彼女にキスをした。