1コ下のキミ


……はつ、こい……?


「それ、本当か?」

「本当だよ、嘘ついてあたしの何の得になるの?」


さっきの俺のセリフを思いっきりパクってきやがった郁未。

でもそれよりも、俺は疑問に思う事がある。


「お前、キス慣れてなかったか?」

「な、なに言ってるの!?慣れてるわけないじゃない、アレだって初めてだったんだから」


そう言うアレとは、俺が郁未に『名前を呼んでほしいなら、ココロを奪ってみせろよ』なんて事を言った直後、郁未からされたキスだ。


「あれは……もし龍河くんがあたしのこと好きにならなくても、後悔しないように、というか……気付いたらしてたというか、夢中でその時は羞恥心すら感じなかったというか……」

「……お前は、いろんな初めてをポイポイ捨てそうだな」

「ち、違うよ、ちゃんと自分が一緒に居たいと思った人にしか……ぶつぶつ」

「ぶつぶつ濁すな。言うなら言ってくれ」


郁未が取り乱してる分、今の俺は冷静でいられる。

同時に、喜びをかみしめている。


郁未の、初恋。

俺の、初恋。
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