1コ下のキミ


とりあえず、コイツの性格や俺への印象を知る必要がある。

知る時間がほしい。


それを判断基準として、信じられるラインを超えたら木岐さんに会う。

それまではリーダーを頼る。


それが一番安全な道だと考えた。


「わかった。普通に危険を――」

「――もし」

「……え?」

「もし本当に名前を呼んでほしいなら、俺のココロを奪ってみせろよ」


本気なわけじゃない。

ただ、信じさせろと思ってる半面、信じたいとも思ってる。


俺を本気にさせたいならお前が本気になればいい。

そしたら信じることにも繋がるし、名前だっていくらでも呼んでやる。


「……わかった、奪ってあげる」


そう言った瞬間、『郁未』は俺の胸ぐらを掴んで思いっきり引き寄せ、唇を押し付けてきた。


……は!?
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