1コ下のキミ
「気付いてるか?木岐郁未の周りには常に間がある」
「……間……?」
「つまり……避けられてる。誰もが木岐さんを恐れるがために、みんな触れるどころか声かけることすら恐れる」
……あぁ、だからいつも俺に声かけてるのか。
「木岐郁未にとってお前は唯一、普通に接してくれる奴なんだろ」
それなのに、なつくななつくなと離れていこうとしていた。
「名前を呼ばせたいのも、いつも『木岐妹』って呼ばれてるからだろ。名前を呼び合えば、自然と近付く。そういうもんだろ?」
……本気で、俺に近付きたいと思ってる……?
だから木岐郁未も俺を本来の名前……龍河と呼んでるのか?
「だからお前は、あの子を受け止めてやるべき人間なんだよ」
受け止める……?
木岐郁未を……?
「お前はもう少し、周りを見るべきだな」