1コ下のキミ


「んだよ、カワイいとこあんじゃん」


俺がそう言うと、木岐郁未の顔が真っ赤に染まっていくのがわかった。


「……な……な……な……!?」

「それに、言えたじゃねーか」

「な、なに……!?」


コイツ、気付いてんのか?

自分で言ってて、ちゃんと気付いてた?


「自分の意思どころか、しっかり『自分』を話してたじゃねーか」

「自分?あ……」


『嬉しい』って感情だけに留まらなかった。

思わずだろうが、しっかり自分のそういう理由を話した。


少なくとも、自分を知ってほしいと思った結果だろう。

それが無意識でも。


「あれは、その……」

「言い訳すんの?」


認めちまえよ。

それがお前なんだから。
< 53 / 157 >

この作品をシェア

pagetop