1コ下のキミ
それから、周りから状況を聞いて、なんとなくわかってきた。
俺以外の奴は、どうやらこの現象を知っているらしい。
いや、あともう一人は疑ってるような……でも何か知っているようだった。
ソイツは『二番目』らしかった。
俺が知らないのはムリもない。
俺がその現象の、一番最初の被害者だったらしいから。
どうやらそのよくわからないことを、みんなは『呪い』と呼んでいるらしい。
となると、俺は寝ている間に呪いにかかっていた、なんてことになる。
そんなこと、信じられないし理解もできない。
ただ、今年の夏がなかったことは否定できない……。
俺の高校デビューが明らかに狂ったこと、なぜか学校中で俺を知らない奴はいないほどまでになっていたことも否定できない。
クラスに戻っても、俺は一切名前を覚えていなかったはずなのに、みんな俺の名前を知っていたことも……。
その上、既に留年が決まっていたことも……。
俺の高校デビューは散々なものになった。