1コ下のキミ


もしかして……コイツずっとそんなこと求めてたのか?

俺に?


それを考えるとまた少し、可愛いと思ってしまった。

着実に好きになっていく自分に気付かされる。


「止まらないでください」


……お化け屋敷で、注意を受けてしまった。


「とっとと出るぞ。怖ぇなら目瞑っとけ。出口まで引っ張る」

「う、うん」


その後、俺は脅かしてくる一切の幽霊たちを無視し、ただ出口に向かって歩いた。


「着いたぞ。目開けろ」

「う、うん……」


うつむく郁未は目を開けたのかわからない。

なぜ下を向いてる?


「どうした?気分悪い?」

「う、ううん、大丈夫!大丈夫、なんだけど……」


握られた手に冷や汗?


「ちょ、お前本当に大丈――」
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