はつあい~君と僕との恋愛定理~
「はい。ちょっと外に出てますが、大丈夫です」
『そっか、なんかごめんね。
でも、桜井さん。大学のPCにUSB置きっぱなしだったから、困るかなと思って』
「…………あー!!!」
カフェの外の道路で喋っているのも忘れるくらい、私は大声をあげてしまった。
電話の向こうでは先生が呆れた様子で笑っている声が聞こえた。
『明日が途中発表の日だし…どうする?』
顔が見えないが、絶対いつもの厭味な笑顔をしてる。
USBが置きっぱなしということは、発表できる状態になってないということ。
というか、今日の夜、最終チェックを家でするつもりだったのだ。
「…いまから行きます」
『気をつけて来るんだよ』
「…………はい」
不覚にも…ドキっとしたのは秘密。
私は、麻衣子に手短に話し、駅へと向かった。
でも、先生休日なのに
なんで大学にいるんだろう。
…まあいっか。