はつあい~君と僕との恋愛定理~
こつん、とおでこを突かれた。
桃色のUSBで。
そして、普段は私の10㎝は上にある先生の顔が
…私の目の前にあった。
「そんな大声出すなよ。
まるで俺がヘンなことしてるみたいじゃないか。」
ちょっと呆れたようにそれだけ言うと、ぽいっと先生の手からUSBが投げられた。
「せっかくだから仕上げてから帰れよ。
俺まだ用事あるし、それにチェックもしたい。」
先生はふらふらっと椅子に腰かけ、コーヒーメーカーの中を見ながら言う。
ふんわりとブラックコーヒーの香りが、私のところまで来た。
「…はーい、ありがとうございます。」
よかった、返事できて。
今でも心臓がドクドクと響いている。