はつあい~君と僕との恋愛定理~
あの日以来の『俺』にドギマギして声が出ないかと思った。
そんなことを考えてほっと一息ついて研究をしようとしたら、また声がかかった。
「………桜井」
「はい?なんですか?」
ちらっと先生の方を向くと、ちょっと顔を赤らめて難しそうな表情をしていた。
それを見て、はっとした。今まで見たことのない表情だったから。
でも先生は「いや、なんでもない。」とだけ言って、またコーヒーメーカーの中を見た。
私は少しの間、先生から目が離せられなかった。