はつあい~君と僕との恋愛定理~
「仕上がりそう?」
「なんとか」
「そっか、頑張ったな」
暖かい笑顔の先生。
さっきからうるさい心臓を落ち着けさせるためにも、私はごくりとコーヒーを飲んだ。
苦くないコーヒーを。
「先生ってコーヒー好きですよね」
「あ?ああ。学生時代から数学をするときはコーヒーだったから」
「…おいしいです、甘くて」
甘いというと、先生はちょっとだけ顔を歪ませ、恥ずかしそうに言った
「超甘党なんだよ、俺」
「人は見かけによらないですね。
…あ!ドーナツも好きですよね?」
「よく知ってるのな…」
「この間吉野くんが持ってきてたドーナツ残り、先生が一人持ち帰りましたもんね」