はつあい~君と僕との恋愛定理~
同じ研究室の吉野くんは、某ドーナツ屋でバイトしていて、この間残ったドーナツを大量に持ってきた。
この目の前にいる先生は、まだ独り身のくせに全部持ち帰ったのだ。
さすがの吉野くんもびっくりだ。
「吉野くんは良いところでバイトしてるよ、ほんと」
にやりと笑いながら、コーヒーをすする。
この、たまに見せる子どもっぽい笑顔が…すてき、だったりする。
「コーヒーカップとドーナツって同相だろ」
「?…そうですね」
私が先生のことを見つめていたら、いきなり真剣な顔して言った。
(※コーヒーカップもドーナツも、ぐにゃぐにゃ変形でき無限に伸びることのできる素材としたら、どちらも同じ=同相とできる。“トポロジー”という数学の分野のひとつのお話です。)