君と2人で
▽始まりの春
幸樹Side
青い空、白い雲
流れる風、舞う桜。
世の中ど-でも良いことばかり
だけど朝の風はいつでも心地いい。
学校に着くと向かった下駄箱。予想通りの人だかり。
早く来たつもりだったのになあ・・
クラス表が見えずにぼ-っとしていると悟が声をかけてきた。
「ちょっと幸樹!見ろよ!有木遥香だって!こんな名前の奴いねえよな?転校生!しかも女!」
悟はこう見えても生徒会長で、地元の野球チームに所属。
県選抜に選ばれる程の奴らしい・・・・が学校では、そんな気配なし。ただの馬鹿だ。
そして悟はそそくさと教室に向かって走って行った。彼女居るくせに・・・
そんなことを考えている間に下駄箱には、俺1人。何組なんだろーな。
すると隣に誰かやってきた。
ん?こんな奴いたっけ?見たことねーなあ・・
あ!もしかして転校生か?アリキハルカとかゆー奴?
うん。そうだろう。絶対そうだ。
にしても小さいな。150㎝もあるのか?小動物みてえだな。
ショートカットの髪、大きな目、長いまつげ、赤みを帯びた頬。
きっと【可愛い】ってこ-ゆう奴のこと言うんだなってかんじ。
「あ・・あの・・・・」
俺が見過ぎたせいか声をかけてきた。
「職員室ってどこ・・・・・?」
消え入りそうな小さな声で俺を真っ直ぐ見て尋ねてきた。
「来て。こっち。まだ時間あるし、一緒行ってやるよ」
ガラにもなく人助けをしている俺。ましてや、転校生の女に。
調子狂うよな~こういうの。ホント勘弁してくれよ・・・・