last~舞い散る雪の羽根~
「おっかしーなー。だいたい、ひとつ屋根の下に同じ高校の人が住んでいたら、確実に何かあると思ったんだけどなー」


「そのいかがわしい表現やめろ」


実は、花岡の言っていることは外れていない。


おれとアイツは、何もなかったわけではないのだ。


だが、おれも、アイツも、結局・・・。


・・・回想シーン。(超速再生中)


『ほんの少しだけ・・・今だけ、そばにおいてください』


・・・回想シーン終了。


「まあいいや、そんなわけだから、とにかくよろしくねっ」


おれの回想が終わり、気づくと花岡がそう切り出していた。


「ああ。そば、ありがとうな」


「ううん、それくらい気にしないで」


笑顔で花岡は立ち去って行った。


ドア越しに、花岡が元気にアパートの階段を上る音が聞こえる。


少女のしぐさ、少女の笑顔。


どこか、懐かしい気がするのは気のせいだろうか。


なぜか、心温まるような。


そんな後味が残った。


面白いヤツだったな。


おれは、ひそかに思った。


――あいつと、同じクラスになれたらいいな。




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